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このシリーズ「新入社員、○○に出会う」は、新入社員が職場で遭遇する出来事や、ちょっと困った上司・先輩とのやりとりを、実体験風のショートストーリーでお届けする連載です。
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各話あたり3分程度で読めるボリュームで、モヤモヤの正体や対処法については後半でちょっとだけ解説します。
先輩の奢り① カフェ編
今日の僕は先輩の商談に同行、先方に着く前に途中のカフェで打ち合わせをすることになった。オーダーの仕方が独特なことで知られている、あのアメリカ発祥のチェーン店のカフェだ。
実は僕はここに来たことはあるものの、自分でちゃんとオーダーしたことがなかった。友人と来たときはいつも「同じので」で逃げ切ってきたのだ。
ところが先輩は
「奢るから、好きなの頼んでいいよ」
と、僕に先にオーダーするよう促してきた。なんて気の利かない先輩だ。そんなんじゃ出世しないぞ、と僕は心の中でとてつもなく失礼なことを考えた。
「え~っと、あの、普通のアイスコーヒーで」
店員さんのフォローもあり、なんとかオーダーを終えると先輩が
「なんだ、頼み方知らないのか、だったら先にそう言えよ」
と笑っていた。
なんでも先輩はこのチェーンの別の店で学生時代にバイトしたことがあるそうだ。研修は充実していたし、スタッフの人間関係も良かった、と楽しそうに話す。
「ここのコーヒーがずば抜けて美味しいとは思わないけど、空間として好きだからやっぱり来ちゃうよな」
先輩はすっかりこのカフェのファンになっているようだった。
先輩の奢り② ラーメン編
さて商談は無事終了、お昼を食べてから会社に戻ることになった。
先輩、商談も上手くいったみたいだし、ここも奢りですよね。奢ってくれたらプラス評価ですよ、と僕は脳内で勝手に先輩の査定を始めていた。
しかし、オフィス街のど真ん中では残念ながら空いている飲食店が見つからない。しばらく探してやっと見つけたラーメン屋では、店主が若い店員に怒鳴っていて、正直あまり雰囲気が良いとは言えなかった。
「味は悪くないのにもったいないよな。まあ、だから座れたんだろうけどさ」
先輩は店を出てからボソッと言った。
ポイント解説:従業員満足なくして顧客満足なし

ここがポイント!
これは「インターナルマーケティング」と呼ばれる考え方です。
企業が顧客(外部)に向けてマーケティングを行うのと同じように、従業員(内部)に対しても、働きやすい環境や自社の魅力を伝えていくことの重要性が注目されています。
特に接客業では、従業員が大切にされ、自社に誇りを持てていれば、その満足感は自然と接客の質ににじみ出ます。
反対に従業員が疲弊していれば、どれだけ味や商品が良くても、店の空気そのものが台無しになります。
先輩が今もあのカフェのファンでいるのは、単に「思い出の場所」だから、ではありません。
バイトを辞めた後でも行きたくなるお店とは?
僕は今日入った2つの店を思い出してみた。
カフェの方は先輩のように、バイトを辞めた後でもリピーターになっている人がきっとたくさんいるに違いない。今働いている人だって、きっとモチベーションは高いはずだ。
一方、ラーメン屋の方は…、あの店員は辞めた後に絶対行かないどころか、お店の悪口を言いふらしていても不思議じゃない。
そんなことを考えているうちに、僕はあのカフェで働いている人の様子をまた見たくなった。
今度は1人であのカフェに行ってみよう。ただ、その前にオーダーの仕方を憶えるのが面倒くさいけど。
