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今回は、社会人なら誰でも出くわすであろう「手のひら返し」についてです。
わかりやすい例①
部長「Aさん、この企画書はなんだ!ちゃんと課長にもチェックしてもらったのか?」
Aさん「はい、課長からは『いい案だから、ぜひ部長にお見せするように』とのことでしたが…」
課長「は?私はそんなこと言った憶えは無いぞ。適当な事を言うな!!」

ちなみに、これは私が昔の職場で実際に聞いたやりとりが元になっており、いわゆる「梯子を外す」に該当します。
上の例の場合は企画に賛成(応援)派 ⇒ 反対派に寝返った訳ですが、逆に自分に批判的だった人が
「実は前から応援していたんだよねー」
と支持する側に態度を変えるパターンもあります。
これはこれで腹が立ちますが、最初の「梯子を外す」に比べると実害は少ない気がします。
これら「手のひら返し」は別名「手のひらクルー」などと呼ばれることもあり、ネットの世界では日常的に見ることができます。
わかりやすい例②
2022年のサッカーワールドカップでの日本代表に対する評価。
本戦前は批判的だった人たちが日本代表が勝ち始めた途端、
「やっぱり日本は強い!」
「監督は名将だ!」
と評価が逆転。

しかしスポーツ観戦の場ならばまだしも、自分の職場で、しかも自分のキャリアに直結する重要な場面で「手のひら返し」されたら、たまったものではありません。
今回の記事では、手のひら返しをする人の心理を分析しつつ、それによる被害を最小限にする方法を考えてみました。
今回の記事はこんな方におすすめ
- 手のひら返しをする人を見分けるポイントを知りたい
- 手のひら返しをする人の心理を知りたい
- 手のひら返しにどんなパターンがあるのかを知りたい
- 他人の手のひら返しによるダメージを回避したい
- 歴史上、有名な手のひら返しについて知りたい
「手のひら返し」される側の心理
言うまでもなく「手のひら返し」をされた側の人は、それなりに精神的なダメージを負います。
「この人のことは信用できない」
「この人の言うことは次からは真に受けないようにしよう」
「もう利用されるのは御免だ」
と、警戒モードに入ります。
しかし、影響はそれだけではありません。
チーム全体への影響
私の経験的に、手のひら返しをする人(前述の課長タイプ)は、一度きりではなく何度もこれをやってきます。
怒鳴るなどの分かり易い形のパワハラとは異なるものの、そのような上司の元ではチームメンバーは
「いつ手のひら返しされてもダメージが少ないよう、とにかく慎重に行動しよう」
と、まずは自分を守ることが第一となってしまい、他の人の仕事にも積極的に関わるといった協力のマインドは失われていきます。
「手のひら返し」する側の心理
では、「手のひら返し」をする側の心理はどうでしょうか?
ここでは一方的に悪者と決めるのではなく、様々な場合について考えてみます。「する側の心理」を把握しておくことが、被害を防ぐための第一歩とも言えるからです。
なお、私の主観に基づきますが、各タイプごとに「悪質度」という概念を設けてみました。数字が大きくなるほど悪質だと思ってください。
悪質度0.5 :単なる行き違い
これは手のひら返しされた側は「やられた!」と思っていても、相手側にはそんなつもりは無く、
「言った・言わない問題」
となっている状態です。
そうはいっても、「言った・言わない」でしょっちゅう他人と揉めている人はコミュニケーションに何らかの問題があると考えられるので、上司がそういうタイプである場合はこちらで気を付けるしかありません。
対策として、まずは伝達事項をメール、チャットなどで履歴を残すことです。いくら相手に悪意は無いとはいっても、用心しておかないとそれなりにダメージは被る可能性があります。
悪質度 1:あえての悪役
ときには本人の意志ではなく、やむを得ない事情により態度を変えざるを得ない場合もあります。
たとえば、昨日まで「君の企画案で行こう!」と背中を押してくれていた上司が手のひら返しをした場合、された側からすれば当然「梯子を外された」気分になります。
が、ここでものをいうのは日頃の信頼関係です。果たしてその上司は何の意味もなく手のひら返しをする人でしょうか?
そんな人とは思えない、という場合は経営トップの判断など、やむを得ない事情が働いている可能性があります。もしかしたら上司こそが会社の「手のひら返し」の被害者で、やむなく部下に対して自分が嫌われる役を演じているかもしれません。

とりあえず、ここは感情的にならず、少し時間をおいてから探りを入れてみるなど冷静な対応を心がけるべきです。
悪質度 2:自分の意思が無い「風見鶏」タイプ
ここから悪質度がぐっと上がります。
「風見鶏」は周囲の意見や状況に流されるタイプで、自分の中に確固たる判断基準がなく、周囲の意見に流されて態度を変えてしまった場合です。

これは行動経済学で言うところの「バンドワゴン効果」に当たり、
「みんながそう言っているから、こっちにした方が良いのかも」
と思い込んでしまう心理バイアスが働いています。
悪意がそれほど無いとはいえ、手のひら返しによる部下やチームのモチベーションダウンについて無関心、というのはリーダーとして大問題です。
本人が自分から反省することは少なく(ほとんど皆無)、同じことを繰り返すことが多いため、じわじわと組織を疲弊させます。
この場合も「言った・言わない」と同じで伝達事項を履歴に残すことが有効ですが、他にも
「部長も好反応でした」
「他の部署から『協力したい』と声があがっている」
など、嘘でない範囲内で外部の声をちらつかせるという対策が、「風見鶏」の性質上有効です。
悪質度 3:自己保身のための「トカゲの尻尾切りタイプ」タイプ
「自分の地位や評価を守ること」に完全に振り切っているタイプです。
部下やチームが受けるダメージを承知の上で、かつほとんどの場合は手のひら返しの常習犯です。

- 上司や経営陣に認められたい(承認欲求)
- 強い側、有利な側につきたい
- 部下や同僚に嫌われても「評価」「昇進」「収入」のほうが大事
このような人は、ダブルスタンダード(場面ごとに基準を変える)を自然に使います。
私が実際に見てきた人の場合、何か部署内で問題が発生すると「自分は聞いてない、部下が勝手にやった」を徹底することで組織内で生き残り、昇進していました。
その人の場合、最終的には部下全員から無視されるようになり、いつの間にか自分がいなくても部署内の仕事が回るようになっていたという、ある意味で当然の結果が待っていましたが…。
対策としては、やり取りの履歴を残す(鉄板)の他にも
- 打合せには第三者に同席してもらう
- 打合せ記録(議事録)を目の前でとる
- ボイスレコーダーを用意する
そのような上司、同僚と一緒に働いた経験が無い人にはピンとこないかもしれませんが、世の中には職場でも平気で嘘をつき、責任感を全く持っていない人は実際にいます。
周囲の人を巻き込む努力も必要ですが、それでも無理となったら転職も視野に入れた方が良いかもしれません。
手のひら返しの心理学的メカニズムとは
手のひら返しをする上司の中には、自分では手のひら返しをしているという意識がそもそも無い場合があります。単純に自分では前に言ったことを忘れているだけなら良いのですが、「記憶の改ざん」まで行っているとやっかいです。
記憶の改ざんというのは文字通り、
「自分はそんなことを言っていない」
と自分の記憶を書き換えてしまうことです。
なぜそんなことが起こるのか、心理学的なメカニズムを考えてみます。
自分は常に「正しい存在」でいたい:自己奉仕バイアス
人間が自分にとって都合よく物事を解釈する傾向を、心理学では「自己奉仕バイアス」と呼びます。
典型的な例
- 成功したとき:「自分がアドバイスしたおかげだ」
- 失敗したとき:「部下の能力不足だ」
注意すべき点は、気持ちを切り替えるためにそのように考えようと努力しているのではなく、本人は本気でそう思っているという点です。つまり本人には悪意はありませんが、逆にその分より悪質だと言えます。
このバイアスが強い人にとって、自分の判断ミスを認めることは「有能な自分」という自己イメージを破壊する恐怖です。
そのため、脳は無意識のうちに「最初から反対していた自分」という架空の過去を作り上げ、現在の自分の正当性を守ろうとします。
矛盾に耐えられない脳の防衛:認知的不協和
もう一つ、強力なメカニズムが「認知的不協和」です。人間は、自分の「考え」と「行動」が矛盾しているとき、脳に強いストレス(不快感)を感じます。
例えば、昨日まで部下を絶賛していた上司が、周囲の反対を受けてその部下を叱責しなければならなくなったとします。このとき、上司の脳内では以下の矛盾が発生します。
- 認知A: 「自分は昨日、この部下を褒めた(事実)」
- 認知B: 「今、自分はこの部下を否定している(現在の行動)」
脳はこの矛盾による不快感を解消するために、
「いや、よく考えたら昨日も心の中では反対していたはずだ」
と思い込むことで矛盾をスッキリ解決しようとする、つまり心の安定を保つために自分の過去の発言や態度の記憶を都合よく書き換えてしまいます。
こういった人の内面では、最新の「正しい自分」に合わせて過去が常に自動更新(アップデート)されています。
だからこそ、こちらが過去のメールや議事録を突きつけても、
「そんな細かい話はしていない」
「意図を理解していない」
と、さらなる防衛反応を引き出してしまうのです。
このメカニズムを知ると、このタイプの相手に「誠実な反省」を求めても無意味であることが理解できるはずです。
集団心理と集団浅慮の影響
これらの事例の背景には、心理学でいう「集団浅慮(しゅうだんせんりょ)」という現象があります。
- 集団の中で対立を避けたい
- 空気を読むことで安心感を得る
- 「みんながそう言っているなら間違いない」と思い込む
こうした心理が働くことで、正しいかどうかよりも「多数派に乗ること」が優先され、一つの方向に集団全体で動くことになります。
その結果、「よく分からないけど、みんなが反対しているから自分も反対」だった人が状況の変化により、一斉に賛成派に回ったり、それまで非難していた人を賞賛するような「手のひら返し」が発生することになります。
「手のひら返し」されないための対策
ここまで書いたように「手のひら返し」をする人の中では、様々な心のメカニズムが働いています。
これに対して、こちらから働きかけることで相手に変わってもらうことを期待するのは、多くの場合で徒労に終わります。それよりも、まずは自分で自分を守る行動を取る方が現実的です。
ここでは、職場での「手のひら返し」から自分を守るための実践的な対策を解説していきます。
手のひら返しする人を見分ける
他人とのやりとりで
「これ、今日までにやっておいてくれるはずでは」
「え、そんなこと聞いてないけど」
といったことはよくあることだと思います。
この場合、依頼した(はずの)側の人は
「自分の記憶違いかも」
と考えることでいったんその場は終了します。
しかし、同じ人とのやり取りで似たようなことが3回あったら要注意です。(2回目でもだいぶ怪しいです)その人は割と平気で嘘をついたり、他人に梯子を登らせておいて、危ないと思ったら自分だけ逃げる可能性が高いです。
他にも
- 会話の中で、過去の発言と矛盾していることが多い
- 責任が発生する場面では逃げ腰になるが、成果が出たときだけ前面に出てくる
- 上司や周囲の評価に異常に敏感で、それに応じて態度を変える
こういった、自らの言動に対する責任感が希薄なタイプは、手のひら返し予備軍と考えてよいでしょう。
距離を取る・関わりを最小限にする
「この人、危ない」と思ったら、深く関わらないことが鉄則です。
- 必要以上に親しくなりすぎない
- 重要な判断や責任が発生する場面では、その人に依存しない
- 情報共有は最小限、かつ必要な範囲に絞る
ここでの「その人に依存しない」というのは、大事なことについては他の人のいる前で言質を取るなど、その人の誠実さを一切当てにしないということです。
これは自分を守るための健全な境界線の設定です。
やり取りを記録に残す・他人を巻き込む
これは定番、かつ有効な対策です。
- メールやチャットでのやり取りは必ず記録に残し、チームメンバーをCCに入れるなど共有
- 口頭のやり取りは後で「○○の件、さきほどお話しした通りで進めますね」と文章でフォローする
- 打ち合わせの議事録を共有し、第三者の証人を作る
さらに効果的なのは、「情報がきちんと周囲に共有されている」という事実を本人にも分かる形で伝えておくことです。
例:折を見て会議の場で「この件については○○課長からもフォローを頂いています」等の発言をする。
⇒「後から手のひら返しはできない」という心理的プレッシャーになる。
こういった対策により「言った・言わない」の不毛な議論をせずに済みます。
背景を推測する
先ほども書いたように、手のひら返しをされたとしても、単純に「この人は裏切った」と思い込むのは早計な場合があります。
- 本人の意図とは限らない
- 背後に上司や取引先など、外部の力が働いている可能性もある
- 社内の力関係や市況の変化があったかもしれない
背景を冷静に分析することで、人間不信など感情面で不要に傷付かずに済み、次の一手を考えやすくなります。
手のひら返しが最善の判断である場合
ここまで「手のひら返し」のネガティブな側面を中心に見てきました。
しかし「手のひら返し」であっても、変化する状況に対応するための適切な方向転換という場合もあります。
状況の変化への柔軟な対応
ビジネス環境は、常に変化しています。
たとえば、
- 自然災害や疫病、戦争の発生
- 原材料の高騰
- 市場のトレンドが急激に変わった
- 顧客のニーズが想定と大きくズレた
- 技術や法規制が変わった
- 社内の方針やリソースが変更された
こうした状況では、むしろ最初に立てた計画や意見に固執することの方がリスクです。
柔軟に意見を変えるのは、責任回避ではなく「現実への適応」であり、場合によってはチームや組織を守るための賢明な判断と言えます。
必要な方針変更と「手のひら返し」の違い
とはいえ合理的な理由による方針変更であっても、その理由が伝わっていない人からすると「手のひら返し」と同じです。つまり「変更の理由がきちんと伝わっているのか」がポイントです。
- 予め、状況次第では途中で方針の可能性が有ることを伝えておく
- 変更した場合は理由をきちんと説明する
経営陣や役職者の立場からすると、たとえ適切な判断であっても伝達が不十分だと、社内の士気低下を招く可能性が有ることに注意する必要があります。
歴史上の出来事で見る「手のひら返し」
ここでは歴史上に登場した「手のひら返し」を振り返りつつ、そこに潜む心理や集団のメカニズムを読み解いていきます。
太平洋戦争の終戦前後、日本のマスコミの手のひら返し
戦前~終戦まで、日本の新聞などは
「戦争は正義だ」
「国のために戦うべき」
と一斉に煽っていました。
ところが終戦が決まった途端に、
「平和こそ正義」
「戦争は悪だった」
と、一気に論調を転換。まさに日本の歴史に残る大規模な手のひら返しです。
産褥熱と医療界の手のひら返し
19世紀、医師ゼンメルワイスが
「産褥熱の原因は医師の手の不衛生であり、手洗いが重要」
と提唱しました。
しかし当時はまだ細菌の存在が分かっておらず、医療界はこれを激しく非難。結果、ゼンメルワイスは医学界から排除され、悲惨な最期を迎えます。
ところが、彼の死後しばらくしてから細菌学の発展により、「手洗いこそが感染予防のカギ」であることが証明され、医学界は一転してその重要性を強調しました。
手洗いへの反発 ⇒ 支持への180度の手のひら返しです。ゼンメルワイスは生前は不遇でしたが、現在では感染症予防の基礎を築いたものとして高く評価されています。
メディアと世論の偏向も、手のひら返しを助長
社会全体に影響するほどの
1つの方向に世論が一斉に流れる ⇒ 手のひら返しの後、反対方向に動く
という一連の動きを助長するのがマスコミなどメディアです。
- ある出来事が話題になるとセンセーショナルに報道
- 報道されていた内容とは逆の結果(例:サッカー日本代表の活躍)が出ると、何事もなかったように逆方向に煽る
現代ではマスメディア以外にもSNS等で情報を調べることができます。かといってSNSから得られる情報が正しい保証もありません。
複数の見方があるはずの出来事なのに、1つの側面ばかりが取り上げられる場合は、特に注意してチェックすることが必要です。
まとめ|手のひら返しから自分を守るために
「手のひら返し」は誰の周りにも起こり得る現象で、その背景には心理学的な仕組みや外部からの圧力が存在します。
自分が被害を受けないようにするうえで、最も重要なのは
「相手が変わることを期待せず、自分を守る行動を取ること」です。
- やり取りは必ず記録に残す
- 周囲と情報を共有し、孤立しない
- 手のひら返ししやすい人とは適切な距離感を保つ
また、自分が「手のひら返し」をする側、つまり意見や立場を変える事態になった場合でも、「なぜ変えたのか」を丁寧に説明することが周囲からの信頼を維持するための鍵です。
変化に柔軟であることと、説明責任を果たすことは充分に両立可能なはずです。
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