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このシリーズ「新入社員、○○に出会う」は、新入社員が職場で遭遇する出来事や、ちょっと困った上司・先輩とのやりとりを、実体験風のショートストーリーでお届けする連載です。
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各話あたり3分程度で読めるボリュームで、モヤモヤの正体や対処法については後半でちょっとだけ解説します。
第3話には、やたらポジティブな「メンタルお化け」が登場します。
遂に「ちゃんとした仕事」降臨
入社2週間目、僕は初めて「ちゃんとした仕事」を任された。
「じゃあこれ、今週中にお願いできる?」
先輩から任された資料作成には、正直、何から手をつけていいのか分からない項目がいくつもあった。
「は、はい、やってみます」
そう言ったものの内心は穏やかではなかった。
本当は・・・、
「ちなみに、これって出来なかったらどうなるんですか?」
・・・って聞いてみたかったんだけど、そんなこと聞けるわけがない。
隣の席では、自己紹介で先輩たちの心をがっちりつかんだ、あの同期が同じように仕事を任されていた。
「うわ、これ難しそうっすね! 燃えてきました!」
…燃えてきました?
そっちも未経験の仕事を渡されているはずなのに、そのポジティブさは一体どこからくるの?
思わず、僕は心の中で彼に質問していた。
もしかしたら、巷で言う「メンタルお化け」とは彼のような人を指すのかもしれない。
その自信の根拠はなに?
さて、とりあえず手を動かし始めてみたものの、30分経っても資料の1ページ目すら埋まらなかった。
「これで合ってるのかな……」
何度も見直しては、また消す。そんな作業を繰り返しているうちに時間だけがどんどん過ぎていく。いや「時間が溶けていく」と言った方が正しいかもしれない。
ふと気づくと、隣の席からは迷いなく一定のリズムでキーボードを叩く音がする。
「順調そうだね」と隣の彼に声をかけると、
「いや、まあ、よく分からないけど多分なんとかなるかなって」
なんとかなるかな…って、本当に君、その自信は一体どこからくるんだ?
もうちょっと打ち解けてきたら、彼にはあれこれ聞いてみるとしよう。
ポイント解説:自己効力感とは

ここがポイント!
「自分ならきっとできる」と思える感覚のことを「自己効力感」と呼びます。
本来であれば、自分がやったことがない(=その大変さも難易度も分からない)仕事について「できる・できない」の判断は不可能なはずです。それを「自分ならきできる」と考えることができるのは、ある意味「根拠がない自信」とも言えます。
自己効力感が育つ理由としてよく挙げられるのが、過去の成功体験です。幼少の頃に親から褒められたことや、部活動や受験勉強で頑張ったこと等、「自分ならなんとかできる」と思える背景には様々な経験・記憶の積み重ねがあります。
ちなみに、自己効力感と混同されやすいものに自己肯定感があります。
今回はこれらについて深入りはしませんが、その違いを簡単な表にまとめてみました。
比較:自己効力感/自己肯定感
| 比較項目 | 自己効力感 | 自己肯定感 |
| 対象 | 特定の課題達成・行動目標 | 自分の存在全体 |
| 関連性 | 「自分ならできる」という感覚 | 「自分には価値がある」という感覚 |
| 基づくもの | 成功体験・スキル・周囲の評価 | 自己受容・内面的な信念 |
| 役割 | モチベーション・挑戦への意欲 | 精神的安定 |
僕は、生き残ることができるか?
それから1週間、僕と同期の彼は先輩から何度もやり直しを命じられたりもしたけど、2人とも今回の仕事はなんとか無事終えることができた。
やり直しの回数が似たようなものだったことから考えると、どうやら僕と彼の能力は意外にも大差ないようだ。少なくとも今回のような資料作成においては…。
そう思うと少しだけ気が楽になった反面、自分から手を挙げることが重要な場面では、やはり彼のような「メンタルお化け」の方が圧倒的に強いような気もする。
果たして僕は実社会で生き残っていけるのだろうか?
次回は「新入社員、自慢話を延々と聞かされる」(予定)です。
