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このシリーズ「新入社員、○○に出会う」は、新入社員が職場で遭遇する出来事や、ちょっと困った上司・先輩とのやりとりを、実体験風のショートストーリーでお届けする連載です。
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各話あたり3分程度で読めるボリュームで、モヤモヤの正体や対処法については後半でちょっとだけ解説します。
その時、世界が変わった?
入社4ヶ月目、僕はある資料作りを任されていた。
正直、あまり気乗りしない作業だった。データをひたすら整形するだけの、地味な仕事だ。
半分やる気のないまま手を動かしていたところ、通りがかった先輩がふと画面を覗き込んだ。
「お、これ見やすいな。こないだ頼んだやつ?」
「あ、そうです」
「へえ、いいじゃん。この調子で頼むわ」
たったそれだけの会話だったが、そこでなにかが変わった。
世界が変わったといっても過言ではない。いや、さすがにそれは大げさだけれども。
もしかして、ちょろい人?
さっきまでの「やらされてる感」はどこへやら、気づけば僕は次のページも「見やすいな」と言われることを目指して作業していた。
そうだ、この辺を分かりやすくするためにグラフとか入れてみようかな…。
そこでふと我に返って思った。もしかして僕って「ちょろい後輩」?
ポイント解説:脳は「報酬」がもらえると分かると動き出す

ここがポイント!
これは「報酬系」と呼ばれる、脳の仕組みに関係しています。
人の脳には、快感や意欲を司る「報酬系」という神経の仕組みがあります。
これは、食事やお金といった分かりやすい報酬だけでなく、他者からの評価や承認によっても刺激されることが分かっています。
「見やすいな」という一言は、給料が上がったわけでも、何かがもらえたわけでもありません。それでもやる気が上がったのは、脳がその一言自体を「報酬」として受け取っていたからだと考えられます。
上の例での「僕」の反応は、ちょろいというよりも人間の脳の仕組みに由来するごく自然なものです。
ただし報酬系の仕組みによって、相手に都合よく利用されてしまう可能性も否定はできません。
そして、僕は考えるのをやめた
その日の夜、僕はふと、あの先輩の顔を思い浮かべた。
先輩は僕がやる気を出すことを計算ずくで、ああ言ったんだろうか。それとも本当にただ思ったことを言っただけなんだろうか。
考えたところで真実は分からないので、僕はそれ以上考えるのをやめた。
そんなことよりも
「人に何か頼むときに、頼んで終わりにせず一言でも褒めるようにする」
このやり方はなかなか有効そうだから、いつか後輩ができたときに試してみよう。
