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このシリーズ「新入社員、○○に出会う」は、新入社員が職場で遭遇する出来事や、ちょっと困った上司・先輩とのやりとりを、実体験風のショートストーリーでお届けする連載です。
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各話あたり3分程度で読めるボリュームで、モヤモヤの正体や対処法については後半でちょっとだけ解説します。
全てをリセットする能力、「手のひら返し」発動
「それ」はある日の午後、僕を、正確には僕と先輩を襲った。
「この間の件の仕様、B案でいくことになったから」
課長が会議から戻るなり、そう言い放ったのだ。
「マジですか。もうA案で現場は動き始めてますよ」
「課長、A案で決まりだから、もう進めていいって言ってましたよね」
先輩と僕は矢継ぎ早に文句を言う。
が、課長は何事もなかったように言った。
「別に俺、A案で決定なんて一言も言ってないし」
わずか1分にも満たないやりとりにより、僕と先輩が今週やってきたことが無に帰してしまった。
言った/言わない論争では立場が強い方が勝つ
「いや、絶対言いましたよ。A案で進めてくれって」
なおも先輩が食い下がる。
「そうだったかなぁ。議事録かなんか、残ってたっけ?」
「くっ…」
あっけなく決着はついた。
僕の記憶が正しければ、あれは確か休憩室での話だ。会議の場ではないので議事録なんて当然ない。
もちろん課長もそれを分かって言っているに違いない。
人類の歴史が始まって以来、言った/言わない論争では立場が強い方が勝つ、これが鉄則だ。
先輩は小さくため息をついて、B案でやり直すべく関係各所に電話をかけ始めた。
ポイント解説:手のひら返しをする人の心理とは?

ここがポイント!
人は自分にも嘘をつく(かもしれない)
手のひら返しをする人にも種類があり、意図的な嘘として
「いや、俺はそんなこと言ってない
(もちろん言ったし覚えてるよ!)」
という場合と、
「いや、俺はそんなこと言ってない
(俺はそんなこと絶対言ってない!)」
と、本気で思っている場合があります
後者のタイプでは、「終始一貫している自分」でいたいという気持ちが、無意識のうちに過去の記憶そのものを書き換えてしまっています。
つまり自分のついた嘘を自分で信じ込んでしまっている訳です。(記憶の改ざん)
今回の例での課長がどちらのタイプかは分かりません。
いずれのタイプにせよ、手のひら返しで得することを憶えた人は何度も繰り返す傾向があります。周囲の人は指示を記録に残すなど、身を守るための対処が必要です。
そして、苦難の道は続く
「せめて、『悪いけどやり直してくれない』とか言ってくれればいいのに」
その日の帰り際、先輩がぽつりと言った。これには僕も完全同意だ。
先輩、もし今夜飲みたい気分ならお付き合いしますよ。もちろん先輩のおごりで。
それはそうとして、今後は課長からの指示は記録に残すようにしないと。
でも、あの課長のことだから記録に残せないようなタイミングで口頭で指示してきそうなんだよな。
