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このシリーズ「新入社員、○○に出会う」は、新入社員が職場で遭遇する出来事や、ちょっと困った上司・先輩とのやりとりを、実体験風のショートストーリーでお届けする連載です。
※シリーズ記事一覧は こちら
各話あたり3分程度で読めるボリュームで、モヤモヤの正体や対処法については後半でちょっとだけ解説します。
あの日の僕はきっと全力だった
入社後しばらくして、僕は顧客管理システムのベンダーさんとの打合せに同席させてもらったことがある。
「休眠客に対してステップメールを送信する機能を追加できるんですけど、いかがですか?」
その提案に対して、先輩は好反応だった。
「おぉ、フォローし切れないお客さん対策にいいかも」
当時の僕にとって休眠客対策とか意味不明だったけれど、とりあえず熱心に聞いているふりを全力で演じていた。
だって、右も左も分からない新入社員の身で、他にできることが何かあるだろうか?(いやない)。
ただ、その後も打合せに同席させてもらうことがあったけれど、あの人からの提案はそれ以降は無かった気がする。
まさに「暖簾に腕押し」
なんとなく気になって、先輩に聞いてみた。
「ああ、あの人ね。前はほんと色々提案してくれてたよな」
先輩曰く、最初の頃は訪問のたびに、何かしらの改善案を持ってきていたそうだ。
しかし、ウチのチームの上司の反応は…
「うーん、それやるとなると稟議通さないとな~」
「検討はするけど、今期の予算的には厳しいかな」
せっかくの提案も一度も採用されることがなく、今や訪問時の会話もすっかり事務的になってしまったらしい。
「まあ、あの人からすれば、言うだけ無駄だと思うようになったんだろうな」
先輩はそう言って、少し気の毒そうな顔をした。
ポイント解説:学習性無力感 VS 自己効力感

ここがポイント!
これは「学習性無力感」と呼ばれる心理現象です。
何かを働きかけても状況が変わらない、という経験が繰り返されると、人は次第に「何をしても無駄だ」と学習してしまい、行動そのものを諦めるようになります。
この話のベンダー担当者も最初はやる気にあふれていたからこそ、その分だけ見送りが繰り返されることが無気力化につながってしまったのかもしれません。
ただし学習性無力感に一度陥ってしまったらもう手遅れ、ということはありません。例え小さな出来事であっても成功体験を繰り返すうちに学習性無力感は「自己効力感」へと変わっていく可能性もあります。
自己効力感についてはこちらの記事をどうぞ。

その後の顛末
その会話がきっかけになったのか、先輩はベンダー担当者さんから以前にもらった提案書を引っ張り出して上司に相談していた。
しかし結果はやはり見送り。
「うちの課長は営業としては優秀だけど、仕組み作りにはあんまり興味ないんだよな~」
それから30分ほど、僕は先輩の愚痴の聞き役になった。
もちろん、会社や上司に対する先輩の愚痴を聞いてあげるのも、後輩社員の立派な業務な一つだということは僕にも分かっている。…というか、最近分かってきた。
先輩が無気力化した姿なんて僕は見たくない。ここは立ち直ってもらわなくちゃ困るぜ。
